Spaciousってなあに?という皆さまへ
"Spacious~空間のための旋律〜”は、大森俊之率いる「音色や響きにこだわった音楽プロジェクト」として、
2014年から、日本のあちこちでコンサートをお届けしてきました。
コンサートホールや美術館、天井の高いカフェや面白い建築の駅...。
例えば客席の作り方も、演奏者を囲んでもらったり、舞台と客席を混ぜてしまったり。
ライブ演奏も面白さや響きの味わいを、どこまで日常を超えて届けられるか、そんな遊びを真剣にしていました。
2020年、2021年は、感染症の影響で、しばらくコンサートでお会いすることはできなかったので、動画を作ってみました。
もともと「空間と生楽器の響き」を大切にしてきたので、録音やオンラインというカタチで何をお届けできるのか、
ちょっと悩みましたが、そんな迷いや試行錯誤のおかげで、
素晴らしい映像作家の方々と、今までになく深く向かい合ってコラボレーションしたり、
配信のことを急に勉強したりと、新しい広がりがありました。
遠くの外国の人に見てもらえたり、そうでなければなかった出会いがたくさん生まれました。
正直言って、オンラインはやってみて驚きました。
オンラインで削られてしまうはずの音も、人は聴いているのだな、と。
遮断されたり切られたりしている情報を補おうとする、
環境が制限されたら、その中で新しく繋がろうとする人の感覚の凄さに、
ものすごく可能性も感じました。
そして2022年。少しづつ、またコンサートの感動や振動が戻ってきて、
今まで以上に大事に丁寧に、コンサート作りをしたいと感じると共に、
この2年でやってみた、新しい動画制作や配信イベントも、さらに修練していきたいと思っています。
「音や光の細かさ」「目に見えない光」「耳に聞こえない音」。
「肌で聴く」「肌で観る」「存在で分かち合う」。
音や光、音楽に関しては、まだまだ未知の世界が広がっていて、 これまで「空間のための旋律」なんて副題をつけていましたが、
「空間」とは、面白い建築を見た時に感じる「空間」や、夜空の美しい「宇宙」であると同時に、
自分の中の「空間」で、そして「宇宙」で、 僕らの細胞の中の「空間」で、
聴いている人と演奏者の間の「空間」だったのか、と 今更ながら驚いています。
僕たちの楽しんでいる世界も音楽も、音も響きも、可能性は無限なのですね。
まだまだ途中の「Spacious」です。
今後ともどうぞ、よろしくお願いします。
作曲家・大森俊之